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重度訪問介護の夜勤を2年やって分かったこと — 現役ヘルパーが語るリアル

「重度訪問介護の夜勤って、実際どうなの?」

「見守りが多くて楽って聞くけど、本当?」

この記事を読んでくださっているあなたは、重度訪問介護の夜勤に興味があるか、すでに現場にいて「自分だけがきついと感じているのか?」と思っている方かもしれませんね。

私は2024年4月から重度訪問介護の夜勤専従ヘルパーとして働き始め、2026年5月現在も現役で続けています。きっかけは、要介護5の父の在宅介護と生活の両立。前職を辞め、「家族の介護をしながら生きていける仕事」を探してたどり着いたのがこの仕事でした。今も介護の夜勤だけでは足りず、空いた曜日にラーメン屋の夜勤(19時〜5時)とのダブルワークで生活を回しています。

この記事では、教科書には載っていない現場のリアルを、良い面も悪い面も正直にお伝えします。

この記事でわかること:

  • 重度訪問介護の夜勤の具体的な仕事内容と1晩の流れ
  • 見守り時間の実態 —「楽そう」の嘘と本当
  • 正直きつかった体験(利用者の逝去、医療的ケアの急変)
  • それでも続ける理由と、リアルな給料
  • これから始める人に伝えたいこと

目次

そもそも「重度訪問介護」とは

まず前提を簡単にお話しします。

重度訪問介護は、重度の肢体不自由・知的障害・精神障害のある方を対象とした、長時間型の訪問介護サービスです。通常の訪問介護(30分〜1時間が一般的)とは違い、1回の支援が8〜16時間に及ぶのが特徴です。

介護保険ではなく、厚生労働省の「障害福祉サービス」に分類されます。

通常の訪問介護との違い

項目 通常の訪問介護 重度訪問介護
支援時間 30分〜1時間 8〜16時間(長時間)
対象 高齢者中心 重度の障害がある方
サービス内容 身体介護 or 生活援助 身体介護+生活援助+見守り+外出支援
必要資格 介護職員初任者研修 重度訪問介護従業者養成研修(追加)

参考: 厚生労働省 — 障害福祉サービスの内容

私が重度訪問介護を選んだ理由は、「時間が固定」「時給が高い」「父と同じような境遇の方を見る仕事だから心理的ハードルが低い」——この3つでした。

前職はドローンスクールの運営で、講師として2泊3日拘束されても報酬は約25,000円。時給換算すると1,000円を切る水準でした。事務作業も含めると拘束時間は長いのに実質低賃金。さらに学生時代からのクレジットカードのリボ払いの残債や借入もあり、返済すら進まない状態。そんな中で「夜勤時給1,800円」という求人を見た時、迷いはありませんでした。


夜勤の1晩の流れ — 22時〜翌7時のリアル

ここからは私の実際のシフトに沿ってお話しします。現在は週4回の夜勤(日・水・木・金)で、基本は22時〜翌7時の9時間勤務です。金曜日だけ21時〜9時の12時間勤務になります。

出勤〜就寝準備(22:00〜23:00頃)

利用者さんのお宅に直接訪問するところから始まります。

  • 前任のヘルパーまたはご家族からの申し送りを受けます。「今日の体調」「排泄の状況」「普段と違う様子があったか」——これがその夜の支援の指針になります。
  • パッド交換やトイレ介助。状態に応じて就寝前の排泄ケアを行います。
  • 服薬介助(眠前薬がある場合)。
  • そこから就寝の準備に入ります。

ここまでで大体1時間ほど。利用者さんが眠りについたら、夜間の見守りフェーズに移ります。

夜間の見守り(23:00〜5:00頃)

ここが「夜勤の大半を占める時間」です。基本は見守りですが、「何もしない」わけではありません。

  • 体位変換:約2時間ごと。褥瘡(床ずれ)の予防のために、定期的に体の向きを変えます。
  • 吸引:2〜3時間に1回。痰がたまりやすい方の場合は、吸引器を使って排痰します。
  • トイレ介助:夜間に0〜2回。利用者さんの状態によります。

つまり、完全に「待機」できるのは体位変換と吸引の間の1〜2時間程度が断続的に来る、という感じです。

起床〜退勤(5:00〜7:00頃)

ここからは一気に忙しくなります。

  • 朝食準備:利用者さんの食事を用意します。ピザトーストとコーヒー、みたいなこともあれば、栄養注入(イノソリッドなどの経管栄養剤)の場合もあります。
  • 清潔ケア:洗顔、口腔ケア、保湿。朝一番に利用者さんが気持ちよく1日を始められるように整えます。
  • 家事:洗濯、食器洗いなど。生活支援も業務の一部です。
  • 記録の作成と申し送り。次のヘルパーやご家族に引き継いで、退勤。

直行直帰なので、事務所に寄る必要がないのは正直ありがたいです。


見守り時間のリアル —「楽そう」の嘘と本当

重度訪問介護の夜勤について調べると、「見守りが多くて楽」という情報を見かけるかもしれません。半分は本当で、半分は嘘です。

自由度はある

見守り時間中はある程度自由が認められています。

  • 食事を取ることはOK
  • トイレの使用ももちろんOK
  • ただし仮眠は禁止

私は待機中に、スマホでSNSを見たり、YouTube / Netflixを片耳イヤホンで観たり、資格の勉強やPC作業をすることもありました。

でも、完全には緩めない

呼び出し対応がいつ来るか分かりません。言語障害のある利用者さんの場合は、わずかな音や息づかいの変化で状態を判断する必要があります。転倒リスクがある方の場合はなおさらで、常に近くにいなければなりません。

「自分の時間が取れる仕事」ではあるけれど、「リラックスできる仕事」ではない。

この違いを理解しているかどうかが、続けられるかの分かれ目だと思います。

「楽そう」と思って来た人の末路

正直に言うと、「楽そうだから」という理由で入ってきて、排泄対応や汚染処理が受け入れられずに早期離脱する人を見てきました。研修は3日間(うち2日は座学)なのですが、1日目の午前中だけで「合わない」と判断して帰った人もいます。私はそれを責める気持ちはありません。向かない人が無理に続けて利用者さんに迷惑をかけるくらいなら、誠実な判断だと思います。

見守りの時間は確かにありますが、それは「生活支援全体の一部」。皆さんが当たり前にしている生活を、障害があっても送れるように支援する仕事です。飲食店の衛生管理すら厳しい人には、この現場はまず難しいと思います。


正直きつかった体験

綺麗事だけでは嘘になるので、ここは正直に書きます。

※以下のエピソードは、筆者の複数の現場経験をもとに再構成しています。特定の利用者様・事業所を示すものではありません。

排泄ケアの負荷と、利用者さんとの別れ

ある現場では、医療的なケアの一環として定期的な排泄処理が必要な利用者さんを担当していました。臭いがきつい場面もあり、身体的な接触を伴うこともあります。

それでも慣れと割り切りで対応を続けていました。

しかしある日、出勤前に事業所から連絡が入りました。

「利用者さんが亡くなりました」

——言葉が出ませんでした。

何度も訪問して、関わっていた方が急にいなくなる。きつかったし、悔しかった。この仕事を続けていると、こういう場面に必ず直面します。

利用者さんの状態急変で負荷が激変した夜

別の現場では、利用者さんの体調が大きく変わった時期に支援に入ったことがあります。普段は落ち着いている方でしたが、その日は清潔ケアの頻度が跳ね上がり、入室から退室まで文字通り動きっぱなし

普段なら待機時間が大半を占める夜勤が、その日は休む間もない時間になりました。利用者さんの状態次第で負荷が激変する——これが重度訪問介護の現実です。


辞めたいと思ったことは正直ある

排泄ケアの負荷が特に高い現場が続いた時期は、正直「辞めたい」と思ったこともあります。

でも、続けた理由は明確でした。

  • 給与が良い(介護職の中では上位)
  • 待機時間を含めると、実働に対して報酬が見合っている
  • 時間が固定されていて、生活設計がしやすい

当時は「弱音を吐いている暇じゃなかった」。ただ生きるために、家族を養うために働いていた。辞めたいという感情より、現実の方がずっと重かった。だから「割り切り」で踏みとどまりました。


家族介護との違い — 「仕事だからできない」こと

要介護5の父を在宅介護してきた私からすると、家族介護と仕事としての介護は明確に違います

家族介護 仕事としての介護
距離感 遠慮がない 制約が多い
判断 自分の裁量が大きい ルール・手順書に従う
柔軟性 「ちょっと待って」が言える 業務として許されない

よく「家族の介護経験があるから仕事でもできるでしょ」と思われがちですが、実際は「仕事だからできる」ことより「仕事だからできない」ことの方が多いです。

ただ、逆に言えば、仕事として線引きがあるからこそ精神的に自分を守りやすい面もあります。これは家族介護にはない「プロとしての距離感」のメリットだと思います。


それでも私がこの仕事を続ける理由

きつい体験を重ねてもなお、この仕事を続けている理由はいくつかあります。

利用者さんとの信頼関係

長時間の支援だからこそ、通常の訪問介護では築けない深い関係性が生まれます。

  • ヘルパー個人を信頼して、「あなたがいるから安心できる」という趣旨の言葉をかけてもらえたことがあります。
  • 口腔ケアを丁寧に続けていたら、状態が改善したことを喜んでもらえたこともありました。
  • 利用者さんのちょっとした体調の変化に気づいた時に、「小さな変化に気づいてくれるのが嬉しい」と感謝されたこともあります。

長く通い続けることで、利用者さんやご家族から「あなたに来てほしい」と言ってもらえる。こういう言葉をもらえると、この仕事をやっていて良かったと心から思えます。

時間の自由度

夜勤専従だから日中が空く、という事実は私の人生を大きく変えました。

父の在宅介護と仕事を両立できたのはもちろん、空いた時間でプログラミングの勉強や、今やっているブログ・事業準備の時間も確保できています。週4回の夜勤で生活を成り立たせながら、自分の将来にも投資できる。これは日勤の仕事ではなかなか難しかったと思います。


給料のリアル — 手取りを公開します

重度訪問介護の夜勤専従、正直に給料をお話しします。

私の収入内訳

項目 金額
時給 1,300円
夜勤手当(1回) 5,000円
1回の夜勤報酬 約16,700円

月収

手取り:約30万円前後

前職との比較

前職(ドローンスクール運営)では、泊まり込みの長時間拘束で実質時給は1,000円を切っていました。それが今は時間が固定され、生活設計が立ち、家族の介護とも両立可能。収入だけでなく「生活の安定感」が劇的に変わりました。

夜勤専従の経済メリット

  • 時間効率が良い:実働時間に対して報酬が見合っている
  • 支出が減る:夜に出て朝帰りの生活だと、空いているお店もあまりないので自然とお金が貯まる
  • 残業がほぼゼロ:2年間で残業は2回だけ(利用者都合の延長1回、後任の寝坊1回)

デメリットとしては、生活リズムの管理が必要なことと、友人や家族と予定を合わせにくいこと。ただ私にとっては十分に許容範囲です。

なお、2025年には高市早苗総理のもとで介護人材の給与引き上げの動きも出ています。今後さらに待遇が改善される可能性もあり、特別な資格がなくても始められる仕事の中で、重度訪問介護は最も稼げる仕事の一つだと私は思っています。


どんな人が向いている?

2年間やってきて、「向いている人」の特徴が見えてきました。

向いている人

  • 穏やかな性格の人:長時間、利用者さんと1対1で過ごす仕事です。短気だと厳しい。
  • 気配り・目配り・心配りができる人:小さな変化に気づく力が信頼につながります。
  • 夜型の生活が苦にならない人
  • 日中に自分の時間を持ちたい人(勉強、副業、家族の介護との両立)

覚えておいてほしい現実

  • 研修は2〜3日で現場に出ます。覚えが遅いと正直厳しい
  • 排泄処理、強い臭い、医療的ケアは避けて通れません。
  • 無資格でも始められるのは事実ですが、合わない人は早い段階で離脱します(実際に見てきました)。

過去の自分に一つだけアドバイスするなら

「とにかくメモを取れ」

見てメモ、やってメモ。これだけで習得速度が全然違います。研修期間が短い仕事だからこそ、自分で知識を定着させる工夫が不可欠です。


まとめ — 楽ではないが、合理的に生きていける仕事

重度訪問介護の夜勤は、正直きつい面があります。利用者さんとの別れ、突然の急変対応、夜通しの緊張感。

でも同時に、これほど時間効率よく稼ぎながら、自分の生活も守れる仕事は介護業界の中でもそう多くありません。

  • 時間・収入・家族介護を両立できる、現実的な選択肢
  • 楽ではないが、実働に対して報酬が見合っている
  • 感情と割り切り、その両方が求められる現場

もし今、生活と仕事の両立で行き詰まっている方がいたら、「重度訪問介護の夜勤」という選択肢があることを知ってほしい。私はこの仕事に救われました。

少しでも興味を持たれた方は、まず情報収集から始めてみてください。


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免責事項

本記事に記載されている体験談・エピソードは、筆者の複数の現場経験をもとに再構成したものであり、特定の利用者様・ご家族・事業所を示すものではありません。利用者様のプライバシー保護のため、詳細を変更・抽象化している箇所があります。

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この記事を書いた人

重度訪問介護の現役夜勤ヘルパー(神戸)。父(要介護5・右半身麻痺・言語障害)を3年間在宅介護した経験から、ドローンスクール運営会社を退職し2024年4月に介護業界へ転身。介護職3年目の今は、重度訪問介護と地域包括ケア病棟の両方で勤務し、入院から在宅復帰までの全プロセスを現場で見ている。前職でDX化(人件費60%削減)を手がけた経験を活かし、介護現場の自動化・ロボット導入の可能性を追求中。2027年4月、神戸・芦屋エリアで独立し訪問介護事業所を開業予定。

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