「なぜドローンから介護に?」
これが、私が新しい職場で自己紹介をするたびに聞かれる質問です。「最先端の技術の世界から、なぜ介護に来たんですか?」と、不思議がられます。
その答えは一言で言うと——「父が要介護5になったから」です。ただし、それは「介護業界を外から見てきた人間が、内側に入ることを決めた」ということでもあります。
この記事は、私の転職体験をそのまま書きます。給料がどう変わったか、ITスキルがどう活きたか、介護業界に入って何に驚いたか——「介護への転職を考えている異業種の方」に向けて、飾らずに書くつもりです。
この記事でわかること
- ドローン講師→介護職という転職を決めた本当の理由
- 転職前後の給料・勤務時間のリアルな変化
- IT・教育スキルが介護現場で活きた具体的な場面
- 介護業界に入って「これは驚いた」と思ったこと
- 異業種から介護へ転職するときの求人の探し方
なぜ最先端のドローンから介護の世界へ?
ドローンスクールの講師として働いていた頃の私の仕事は、受講生に飛行原理・法規・安全管理を教えることでした。テクノロジーを扱い、教育を提供し、業務のDX化(受付の完全自動化・人件費60%削減)にも取り組んでいました。
仕事は面白かった。ただ、父が要介護5になりました。
要介護5は、最重度です。24時間の介護が必要な状態。家族として父の介護に関わる中で、私は「介護の現場を外から見る人間」ではなく「内側で関わる人間」になることを選びました。それが転職のきっかけです。
もう一つ理由があります。「介護業界はDXが最も遅れている業界のひとつ」という認識です。ドローン業界でIT化を実践してきた人間が、介護の現場に入ることで何かできることがあるはずだ——2027年4月に訪問介護事業所の設立を考えている今も、その思いは変わっていません。
「安定を捨てた」とか「給料を下げた」という見方もできます。でも私の見方は少し違います。「今の現場経験を積んでいる」という感覚です。
転職前後の給料と勤務時間のリアルな変化
正直に書きます。
給料の変化
転職前(ドローン校講師):
- 月収(手取り): 約15〜18万円(20万円を超えることは稀でした)
- 勤務時間: 週5日・日勤(8〜18時程度)・土日祝は不定
転職後(重度訪問介護ヘルパー・夜勤専従):
- 月収(手取り): 約26万円(月17回前後の夜勤の場合)
- 勤務時間: 週3〜4回の夜勤(10〜12時間)・直行直帰
給料で言えば、前職時代は手取り15〜18万円で、20万円を超えることは滅多にありませんでした。それが夜勤専従に変わってからは、夜勤手当・深夜割増賃金が加算され、手取りは月26万円前後まで改善。勤務日数はむしろ減ったのに、収入は大きく上がりました。
一方で、賞与(ボーナス)は非常勤のため基本的にありません。その分を夜勤回数の調整で補えるのが、この働き方の特徴です。
勤務時間・生活の変化
前職は週5日の日勤でした。現職は週3〜4回の夜勤専従です。
変わったこと:
- 日中が自由になった(資格取得・自己学習の時間が増えた)
- 出勤の制服・場所への縛りがなくなった(直行直帰)
- 「同僚と毎日顔を合わせる」という環境でなくなった
変わらなかったこと:
- 「仕事に意味を感じたい」という感覚は変わらなかった
- 自分で仕組みを考えて動く、という仕事のスタイル
「夜勤は生活リズムが乱れる」と思われますが、週3〜4回に絞れば、日中の時間を資格取得や事業準備に使えます。実務者研修を働きながら取得できているのも、この働き方があるからです。
異業種で培ったスキルが介護でどう活きているか
「全く関係ない業界から来た」と思っていたスキルが、介護の現場で予想以上に役立っています。具体的な場面をそのまま書きます。
①PC・スプレッドシートの日常使いが即戦力に
重度訪問介護の記録はICT化が進んでいます。電子記録・シフト管理ツールへの適応が遅いスタッフがいる中、私は初日から問題なく対応できました。
「介護記録って難しいんですか?」と新しいスタッフによく聞かれます。「PC操作に慣れていれば難しくないですよ」と答えますが、これが実は大きなアドバンテージです。
②受講生への説明経験が、利用者・家族への説明に活きた
ドローンの飛行原理を「初めて聞く受講生に分かるように説明する」という経験は、介護現場での「利用者や家族に状況を説明する」場面にそのまま転用できました。
「今○○の状態です。このあと△△を行います」という短く明確な言葉で状況を伝えるスキルは、IT・教育業界での説明訓練で自然に身についていました。
③「仕組みで解決する」という発想
施設介護や組織の大きな職場では、「ルールに従う」という文化が強い。重度訪問介護は1対1なので、「この利用者の場合はどうすれば効率的か・快適か」を自分で考えて試す余地があります。
「手順書通りにやる」だけでなく、「なぜそうするのか」を考える習慣は、IT業界での問題解決思考が背景にあります。
介護業界に入って「これは驚いた」と思ったこと
ギャップ①: 「有給が取れること」が売り文句になっている
IT業界では、有給を消化することは権利であり当たり前でした。介護業界では「うちは有給が取れます」を求人票に書く施設がある——この時点で「あ、取れない施設が多いんだ」と気づきました。
「当たり前のことを売りにしなければいけない業界」という構造は、IT業界との最大のカルチャーギャップでした。
ギャップ②: 紙の文化
電子記録が進んでいる施設がある一方で、「申し送りノートは手書き」「シフト表はExcelのプリントアウト」という現場も依然として存在します。「DXが遅れている」という認識は正しかったですが、これは問題である以上に「チャンスだ」とも感じました。
ギャップ③: 「利用者に教わる」という逆転
ドローン講師は「教える立場」でした。重度訪問介護では利用者が「自分の介護の主任」です。「私の家での介護はこうしてください」という指示を受ける立場になります。
最初はこの逆転に戸惑いました。でも慣れると、「この人の生活スタイルに合わせて動く」ことの専門性が見えてきます。「教える専門家」と「その人に合わせる専門家」は、どちらも専門職です。
【アクション】異業種からの介護転職を検討している方へ
「未経験でも大丈夫か?」という不安は、私も転職前にありました。結論:大丈夫です。ただし、どの事業所・施設を選ぶかは重要です。
異業種からの転職で特に確認すべきポイント:
1. 未経験・異業種からの採用実績があるか(前職の話を面接でできるか)
2. 資格取得支援(統合課程・実務者研修の費用負担)があるか
3. 自分のスキル(IT・コミュニケーション・マネジメント)を話せる面接官がいるか
転職エージェントに相談するときは「IT業界・教育業界から介護へ転職したい。スキルを活かしたい」と最初に伝えてください。異業種転職の文脈を理解した担当者が、合う求人を紹介してくれます。
まとめ
- 転職の理由は「父が要介護5になったこと」と「介護業界のDXに関わりたいという思い」
- 給料は夜勤専従という選択で手取りを維持。日中の時間を資格取得・事業準備に使えるようになった
- IT・教育スキルは「PC操作の即対応」「利用者への説明力」「仕組みで考える発想」としてそのまま活きている
- 最大のギャップは「有給が取れることを売りにしなければいけない業界文化」と「紙の文化」
- 異業種から来たことは「弱点」ではなく「視点」——他業界の当たり前を持ち込むことが現場の改善につながる
介護への転職を考えている異業種の方に伝えたいのは「スキルがないから来られない」ではなく「スキルの見せ方を変えれば通じる」ということです。
*※本記事の内容は筆者個人の転職体験に基づくものです。給与・待遇・職場環境は事業所・地域・雇用形態によって大きく異なります。転職の判断は、実際の求人票・面接・入職後の状況をご自身で確認の上でご判断ください。*
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