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「介護派遣」と「直接雇用(非常勤)」どっちが得?現役ヘルパーが時給と待遇を比較

「派遣の方が時給高いって聞いたんですけど、本当ですか?」

現場で一緒に働く方から、よくこう聞かれます。数字だけで言えば「はい、高いです」——でも、それだけで判断すると後悔するかもしれません。

私は現在、重度訪問介護の非常勤ヘルパーとして直接雇用で働いています。周囲には派遣スタッフもいて、実際の待遇の違いを肌で感じてきました。「派遣か非常勤か」は、時給の差だけでなく、処遇改善加算の支給実態・賞与・シフトの自由度・人間関係のコストなど、複数の軸で比べる必要があります。

この記事でわかること

  • 派遣と非常勤(直接雇用)の仕組みの根本的な違い
  • 時給の差が生まれる本当の理由(事業所側のコスト構造から解説)
  • 処遇改善加算が派遣にも支給されるかどうかの実態
  • 賞与・交通費・シフトの融通しやすさの比較
  • ライフスタイル別「どちらが合うか」の判断軸

目次

【結論】時給だけ見るなら派遣、長く稼ぐなら非常勤——ただし処遇改善加算の扱いが鍵

まず結論を出します。

「どちらが得か」の正解はライフスタイルによって変わります。ただし「時給だけで判断すると損をするポイント」が確実に存在します——それが処遇改善加算と賞与の扱いです。

派遣 非常勤(直接雇用)
時給 ◎ 高い(平均1,355〜1,694円) △ やや低い(平均1,220円)
賞与 △ 基本的になし ○ 事業所によってあり
処遇改善加算 △ 派遣元次第(実態は不透明) ○ 支給あり(事業所によって金額差)
シフト柔軟性 ◎ 高い ○ 事業所次第
雇用安定性 △ 有期契約(最長3年) ○ 長期継続前提
人間関係 ◎ リセットしやすい △ 長期で構築が必要

派遣と非常勤(直接雇用)の仕組みの根本的な違い

最初に「誰が雇用主か」という構造を理解してください。

派遣の場合: 雇用主は「派遣会社」。給与・社会保険・有給の管理はすべて派遣会社が行います。働く介護施設は「派遣先」であり、業務の指示を出すが雇用関係はありません。

非常勤(直接雇用)の場合: 雇用主は「介護施設・事業所」。給与・社会保険・有給の管理もすべてそこが担います。

この構造の違いが、待遇のあらゆる差を生み出します。


時給比較:なぜ派遣は非常勤より高いのか

「派遣の方が時給が高い」のは事実です。求人ボックス給料ナビによると、介護士の平均時給はパート・アルバイトで約1,215円、派遣で約1,355〜1,694円(資格・経験によって幅があります)。

では、なぜ高いのか——これを事業所側のコスト構造から見ると分かりやすいです。

事業所が派遣を使うメリット=時給に還元されるコスト

事業所が正社員やパートを直接雇用すると、次のコストを自社で負担します。

  • 求人広告費・採用コスト
  • 賞与・退職金
  • 社会保険の事業主負担
  • 有給管理・労務管理
  • 研修費用

派遣の場合は、これらのコストを派遣会社が引き受けます。その代わりに事業所は「派遣料(時給の1.5〜2倍程度)」を派遣会社に支払います。

つまり、派遣の高時給は「本来事業所が使うはずだった採用・管理コストの一部が、あなたの時給に転換された結果」です。

派遣スタッフが受け取る時給は、派遣会社が受け取る派遣料からマージン(利益)を引いた額。マージン率は一般的に25〜35%程度とされています。

私が伝えたいのは「高時給=得」とは限らない、ということです。賞与や処遇改善加算が別途支給される直接雇用と比べると、年収ベースでは逆転するケースも十分にあります。月単位ではなく年単位で計算してみてください。


賞与・交通費・処遇改善加算の実際の差

賞与(ボーナス)

派遣: 基本的になし。2020年の同一労働同一賃金により改善が進んでいますが、「賞与は時給に含んで計算済み」という名目で時給に組み込まれているケースが多く、別途支給される事業所は少数派です。

非常勤(直接雇用): 事業所によってあり。私が働く事業所では年2回の賞与があります。金額は事業所・在籍期間・勤務時間数によって変わりますが、月数万円〜が一般的です。

交通費

派遣: 2020年4月の改正労働者派遣法施行以降、原則支給が義務化されています。ただし「実費支給」か「時給に含む」かは派遣会社・契約によって異なります。契約前に必ず確認を。

非常勤(直接雇用): 多くの事業所で実費支給(上限設定ありの場合も)。直行直帰の重度訪問介護では、ガソリン代や公共交通費の精算方法を事前に確認してください。

処遇改善加算——派遣にも支給されるか?

これが最も問い合わせが多い論点です。

制度上の答え: 派遣労働者も対象にできる(厚労省 介護保険最新情報 Vol.1277)。

ただし条件がある: 派遣元(派遣会社)と事業所が協議し、派遣料に加算分を上乗せする形で給与に反映することが必要です。さらに、キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備)を満たす必要があります。

実態: 実際に処遇改善加算が派遣スタッフの給与に反映されているかどうかは、派遣会社次第です。「処遇改善加算はどのように給与に反映されていますか?」と登録前に派遣会社に直接確認することを強くおすすめします。

直接雇用の非常勤では、私の事業所は処遇改善加算Ⅰ(最上位)を取得しており、毎月の給与明細に「処遇改善手当」として明記されています。加算区分の高い事業所を選ぶことが重要です。


人間関係・シフトの融通しやすさ:数字に出ない違い

シフトの柔軟性

派遣: 週2〜3日から、時間帯を指定するなど、比較的自由な設定ができます。「副業との掛け持ち」「育児・介護との両立」を優先したい人向け。残業も基本的になし。

非常勤(直接雇用): 事業所のシフト体制に組み込まれる形が多いです。「月●本の夜勤」「週●日の日勤」など、ある程度固定のパターンになります。ただし事業所との関係が深まると、希望休が通りやすくなる傾向があります。

人間関係

派遣の利点: 契約期間が終われば新しい職場へ移れます。「職場の人間関係で疲れやすい」「特定の施設に縛られたくない」という方には向いています。

派遣のデメリット: 毎回新しい職場のルールや人間関係を1から構築するコストがかかります。職場に慣れてきた頃に契約終了、ということも起きます。

非常勤(直接雇用)の特徴: 同じ職場で長く働くことで、利用者や同僚スタッフとの信頼関係が積み上がります。「この利用者の好みがわかる」「このスタッフなら安心して引き継げる」という状態になる。長期的な介護の質という意味では、この蓄積が大きな価値を持ちます。


【アクション】自分のライフスタイルに合った求人をプロに相談する

「今は副業と掛け持ちだから時給が高い派遣を選ぶ」「子育てが落ち着いたら直接雇用で腰を据えたい」——どちらの選択も正解で、ライフステージによって変わります。

転職エージェントに相談するときは、「派遣と直接雇用どちらが自分に向いているか相談したい」と最初に伝えてください。担当者がライフスタイルに合った選択肢を提案してくれます。

また、派遣を選ぶ場合は以下を事前に必ず確認してください:

  • 処遇改善加算の給与への反映方法
  • 交通費の支給方式(実費か時給込みか)
  • 有期契約の更新条件・上限(同一事業所3年ルール)


まとめ

  • 派遣の平均時給は1,355〜1,694円で、非常勤(約1,220円)より概ね高い傾向
  • 時給の差は「事業所が節約した採用・管理コスト」が還元された結果であり、賞与ゼロ・処遇改善加算の不透明さと引き換えになっている
  • 処遇改善加算は派遣にも制度上は対象だが、派遣元と事業所の協議次第で実態は異なる——登録前に必ず確認を
  • シフトの自由度・人間関係リセットのしやすさは派遣が勝る
  • 長期的な信頼・賞与・処遇改善手当の安定性は直接雇用が勝る

「月単位の時給」ではなく「年収+働きやすさ」で比較することが、後悔しない選択につながります。


*※本記事の情報は2026年5月時点のものです。処遇改善加算の制度・加算率は改定されることがあります。雇用条件の詳細は、各派遣会社・事業所に直接ご確認ください。*

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この記事を書いた人

重度訪問介護の現役夜勤ヘルパー(神戸)。父(要介護5・右半身麻痺・言語障害)を3年間在宅介護した経験から、ドローンスクール運営会社を退職し2024年4月に介護業界へ転身。介護職3年目の今は、重度訪問介護と地域包括ケア病棟の両方で勤務し、入院から在宅復帰までの全プロセスを現場で見ている。前職でDX化(人件費60%削減)を手がけた経験を活かし、介護現場の自動化・ロボット導入の可能性を追求中。2027年4月、神戸・芦屋エリアで独立し訪問介護事業所を開業予定。

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