「介護職の夜勤って、実際いくらもらえるの?」——この疑問に、数字で答えます。
筆者は重度訪問介護の夜勤専従ヘルパーとして2年以上働いています。「介護は給料が安い」という声をよく耳にしますが、実際に自分の給与明細を見るたびに思います。「それは、働き方次第ではないか」と。
この記事では、実際の給与明細データ(2026年4月分)をもとに、手取り金額・明細の内訳・夜勤専従を選んだ経済的な理由を正直に公開します。「重度訪問介護の夜勤で働くとどのくらい稼げるのか」「施設介護との違いはどこか」「給料を上げるには何をすればいいか」——この3点を、感覚論ではなく数字で確認してください。
「介護職の給料は安い」は本当か——まず全国平均を確認する
まず前提として、全国データを確認します。
厚生労働省「令和5年度 介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員(常勤)の平均月給は約31.6万円(各種手当・処遇改善加算込み)です。一方、国税庁「民間給与実態統計調査」によれば全産業平均の月収は約35〜37万円水準であり、介護職の給与は全産業平均と比べてやや低い位置にあることは事実です。
ただし、この「平均」には施設の種類・雇用形態・勤務形態の違いが大きく影響します。
施設種別・雇用形態別の給与水準(目安)
| 雇用形態・施設種別 | 月収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特養・常勤(日勤中心) | 25〜30万円 | 安定しているが夜勤手当の積み上げに限界がある |
| 有料老人ホーム・常勤 | 22〜28万円 | 施設によって処遇改善の手厚さが大きく異なる |
| 訪問介護・非常勤(時給制) | 10〜20万円 | 勤務時間に比例するため副業との掛け持ちに向く |
| 重度訪問介護・夜勤専従 | 20〜30万円 | 夜勤回数で月収が大きく変動する |
「介護は安い」という評価は、常勤・日勤中心・施設系の平均から導かれたものです。重度訪問介護の夜勤専従という働き方は、この平均とは異なるレイヤーに位置します。
政府は近年、処遇改善加算の拡充により介護職員の賃上げを推進しています。2024年度以降、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つが統合・一本化され、事業所を通じた賃金への反映が強化されました。筆者の給与明細にも、処遇改善手当として月3万円超が組み込まれており(詳細は後述)、制度の恩恵を直接受けています。
「安い」という一般論は、現状の制度変化を反映していないケースが多いです。次のセクションで、具体的な給与の仕組みを分解します。
夜勤専従という選択——給与の仕組みを分解する
基本給 + 夜勤手当の構造
重度訪問介護の夜勤の給与は、主に3つの要素で構成されています。
① 基本給(時給制)
勤務時間 × 時給で計算されます。関西エリア(大阪・兵庫)の重度訪問介護夜勤の時給は、深夜割増込みで1,300円前後が標準的な相場です。これに処遇改善加算を原資とした「処遇改善手当」が上乗せされるため、実態の時給換算は1,400〜1,500円相当になります。
② 夜勤手当(1回あたり固定額)
1回の夜勤シフトにつき固定の夜勤手当が支給されます。金額は事業所によって異なりますが、重度訪問介護では3,000〜8,000円程度が目安です。夜勤回数が増えるほど、この手当が月収を押し上げます。
③ 立替精算費(実費精算・非課税)
業務上発生した交通費などの実費を翌月に精算する項目で、所得税・社会保険の対象外です。
計算式にすると:
月収(税込)= 時給 × 総勤務時間 + 夜勤手当(5,000円 × 夜勤回数)+ 処遇改善手当 + 実費精算
月何回夜勤を入れると月収はどうなるか
重度訪問介護(関西エリア・1回9〜12時間勤務)における夜勤回数と月収の目安を整理します。
| 月夜勤回数 | 勤務頻度目安 | 夜勤手当計 | 総支給額目安 | 実質手取り目安 |
|---|---|---|---|---|
| 12回 | 週3日 | 60,000円 | 約220,000〜240,000円 | 約170,000〜190,000円 |
| 17回 | 週4日 | 85,000円 | 約300,000〜330,000円 | 約250,000〜275,000円 |
| 20回 | 週5日 | 100,000円 | 約350,000〜380,000円 | 約285,000〜310,000円 |
※実質手取り=総支給額から社会保険料・税金を控除した金額。社保等級・住民税の金額によって変動します。夜勤手当は事業所によって異なります(本表は1回あたり5,000円の場合の計算例)。
重度訪問介護の夜勤で見落とされがちな利点が「直行直帰」です。利用者の自宅に直接向かい、終了後そのまま帰宅します。施設勤務のような朝礼・申し送り・ミーティングによる時間拘束が少なく、勤務時間に対する実質的な収入効率が高い働き方です。移動コストも最小化されます。
【給与明細を公開】私の2026年4月の手取り
実際の給与明細(2026年4月度分)を公開します。勤務先・氏名・社員番号などの個人・事業所特定情報はすべて除外しています。金額と項目は実際のデータをそのまま使用しており、改ざんは行っていません。
【2026年4月度 勤務実績】
- 夜勤回数:17回
- 1回の勤務時間:9〜12時間(シフトによって異なる)
- 特記事項:残業・賞与なし(通常月)
- 雇用形態:非常勤(社会保険加入済み)
【支給項目】
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 基本給(時給計) | 219,120円 | 処遇改善手当相当分 34,860円を含む |
| 残業手当 | 1,350円 | 引き継ぎ時間等 |
| 夜勤手当 | 85,000円 | 17回分 |
| 立替精算費(非課税) | 14,300円 | 交通費等の実費精算 |
| 総支給額 | 319,770円 |
【控除項目】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 健康保険 | 15,760円 |
| 厚生年金 | 29,280円 |
| 雇用保険 | 1,680円 |
| 所得税 | 1,580円 |
| 住民税 | 10,300円 |
| 控除合計 | 58,600円 |
【手取り計算】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 総支給額 | 319,770円 |
| 控除合計 | −58,600円 |
| 手取り | 261,170円 |
「先払い・即日払い制度」について
重度訪問介護の事業所によっては、希望すれば月中に給与の一部を前払いで受け取れる「即日払い・先払い制度」を設けているところがあります。急な出費への対応や、給与日前の資金繰りに活用できる制度で、勤務先を選ぶ際の条件の一つとして確認しておく価値があります。
この月の収入を整理すると
- 夜勤17回・延べ168時間の勤務に対する実質手取り:261,170円
- 1夜勤あたりの手取り換算:約15,363円
- 実質時給換算(手取りベース):約1,554円
税・社会保険を差し引いた実質時給が1,500円超というのは、介護職の一般的なイメージより高い水準だと感じています。
重度訪問介護 vs 施設介護の夜勤——給与はどっちが多い?
特養・有料老人ホームとの比較
施設介護(特養・有料老人ホームなど)の夜勤と、重度訪問介護夜勤専従の給与構造を比較します。
| 比較項目 | 重度訪問介護(夜勤専従) | 施設介護(特養・有料老人ホーム) |
|---|---|---|
| 夜勤手当(1回) | 3,000〜6,000円(事業所によって異なる) | 3,000〜10,000円(施設によって差が大きい) |
| 月の夜勤回数 | 本人次第(週4〜5回も可能) | 月4〜5回が一般的(労務管理の観点から制限されやすい) |
| 1回の勤務時間 | 10〜12時間 | 16〜17時間(長拘束型が多い) |
| 夜勤手当の月間合計 | 80,000〜100,000円(週4の場合) | 15,000〜30,000円 |
| 移動・準備時間 | 直行直帰(最小化) | 施設への出退勤・申し送りあり |
| 雇用形態 | 非常勤が主流 | 常勤が主流 |
最も大きな差が出るのは「月間の夜勤回数」です。施設介護では労務管理の観点から夜勤回数が月4〜5回に抑えられるケースが多く、夜勤手当で月収を大幅に伸ばすことは構造的に難しい。一方、重度訪問介護の夜勤専従は週4日以上が十分に可能で、手当の積み上げ効果が際立ちます。
ただし、施設介護にも強みがあります。常勤として雇用されることで賞与・退職金・キャリアパスが整備されるケース、資格手当の充実、チームで動くことによる安心感などは、重度訪問介護の非常勤とは異なる価値です。収入だけでなく、働き方全体で比較することが重要です。
重度訪問介護「夜勤専従」特有のメリット・デメリット
メリット
- 勤務時間が固定されていて予定を立てやすい(開始時間は勤務先によって20:00・22:00台など異なる)
- 直行直帰のため移動コスト・時間ロスが最小
- 残業がほぼ発生しない(引き継ぎ5〜10分程度)
- 夜勤回数を自分でコントロールし、収入を調整できる
- 夜間帯のため「大きな関わり」より「見守り・定期ケア」が中心で集中しやすい
デメリット
- 収入が夜勤回数に直結するため、体調不良による欠勤が即収入減になる
- 昼夜逆転の生活リズムになり、体調・睡眠管理が重要になる
- 同一の利用者宅に毎週入るため、関係性の固定化や精神的な負荷が蓄積しやすい
- 非常勤のため賞与・退職金は基本的に存在しない
実際の夜勤1晩の仕事内容・現場のリアルについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 実際の夜勤1晩の仕事内容が気になる方は、こちらの記事もどうぞ:重度訪問介護の夜勤を2年やって分かったこと
介護職の給料を上げる3つの方法
現状の収入に満足していない方、もっと稼ぎたい方向けに、実効性のある3つの手段を整理します。
① 夜勤回数・勤務時間を増やす
最も即効性があるのは、夜勤回数を増やすことです。筆者の実績からも、夜勤を1回追加するだけで実質手取りが約13,000〜15,000円増えます(夜勤手当5,000円 + 時給部分)。
ただし、週4〜5回の夜勤は体力消耗が激しく、睡眠の質の維持が前提条件です。「稼ぎたいから」と無理に回数を増やして体調を崩すと、欠勤による収入減+体調回復のコストが発生します。月単位ではなく、3ヶ月・半年単位の平均収入で管理する視点が重要です。
2026年4月(17回)の実質手取り261,170円は、筆者にとって体力と収入のバランスが取れた「適正ライン」と感じています。
② 資格を取得する(実務者研修・介護福祉士)
資格手当の目安は月5,000〜20,000円です。重度訪問介護従業者養成研修(統合課程)は入職時に取得が求められるケースがほとんどですが、介護職員初任者研修・実務者研修・介護福祉士の取得は処遇改善加算の配分に直接影響します。
処遇改善加算は国の補助を原資にした手当で、資格・勤続年数・事業所の評価制度によって上乗せ額が変わります。筆者の給与明細でも「処遇改善手当相当分」として基本給に月34,860円(2026年4月)が組み込まれています。これは時給ベースの賃金に上乗せされる形で支給されており、資格・勤続の積み上げによって増加する可能性があります。
筆者自身も現在、実務者研修の取得を進めているところです。取得後の手当変化については、このブログで随時報告します。(E-E-A-T補足:現場で感じる処遇改善加算の実態は、制度の説明だけでは分かりにくい部分が多いため、体験ベースで継続して発信していきます)
③ 転職で職場・待遇を変える
同じ「重度訪問介護・夜勤専従」という働き方でも、会社によって基本時給・処遇改善の配分率・先払い制度の有無・夜勤手当の金額が異なります。「今の職場の給与体系がよく分からない」「もっと条件の良い求人がないか知りたい」という方は、転職サービスを使った情報収集が最も効率的です。
介護系の転職サイトでは、非公開求人・夜勤専従向けの特化求人が掲載されており、担当者に条件交渉のサポートを依頼することもできます。「今すぐ転職するつもりはない」という段階でも、現在の自分の市場価値を知るために登録・相談するだけでも意味があります。
どの転職サイトを使えばいいか迷っている方は、こちらの比較記事をご覧ください:介護転職サイトおすすめ比較
まとめ——夜勤専従ヘルパーは「経済的に割に合う」か
この記事で公開したデータをまとめます。
- 重度訪問介護の夜勤専従(週4日・月17回)の実質手取りは 約261,170円(2026年4月実績)
- 総支給額319,770円に対し、社会保険・税の控除は58,600円(控除率約18%)
- 夜勤手当(月85,000円)が総支給額の約27%を占めており、夜勤回数が収入を大きく左右する
- 実質時給換算(手取りベース)は約1,554円——介護職のイメージより高い水準
「介護は安い」という一般論は、常勤・日勤中心・施設系の平均に基づいた評価です。夜勤専従という働き方を選び、夜勤回数をコントロールすれば、月収25万〜30万円台は現実的な水準です。ただし、そのためには体調管理の徹底と、自分に合った職場の選択が大前提になります。
今の職場の待遇が気になり始めた方は、まず情報収集から始めることをおすすめします。現役ヘルパーが実際に調べた介護転職サイトの比較はこちら:介護転職サイトおすすめ比較
*※本記事に記載の給与データは個人・事業所を特定できない形に加工した上で掲載しています。金額は実際のデータを使用していますが、勤務条件・地域・雇用形態によって異なります。本記事は特定の事業者・サービスへの加入を勧めるものではありません。*

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